研修修了者の実践例

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在宅主任 池田 里美 さん

所属施設・部署 一般社団法人 南区医師会
南区医師会訪問看護ステーション
修了した特定行為区分 ・呼吸器(気道確保に係るもの)関連
・呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連
・呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連
・ろう孔管理関連
・創傷管理関連
訪問看護での経験とeラーニングや実習など研修方法が受講の決め手となりました

訪問看護に8年従事し、自身のスキルアップと利用者・家族が、在宅で安心して過ごせるためには、質の高い看護を提供することが重要であると考えていました。その時に、自施設の管理者から「特定行為研修があるから受講したらどうか」と、話がありました。特定行為研修制度は、ある程度情報を得ていましたので、特定行為を看護師が行うリスク等の不安や学んだことを看護実践に生かせるのかという思いがありました。しかし、過去の利用者で胃ろうの自己抜去時に看護師が呼ばれても交換ができなかった経験を思い出し、手順書で看護師が胃ろう交換ができれば迅速に対応ができ、利用者・家族にとってプラスになると考え、受講を決めました。
研修方法がeラーニングであり繰り返し学べることや、実習が実践に役立ちそうだと思ったことも受講の決め手でした。訪問看護でのニーズは何かを考え、受け持ちの利用者の状況などを踏まえ、特定行為の区分選択をしました。

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大きかった臨床推論での学び

研修で臨床推論を学んだことが一番大きかったです。訪問看護は一人で訪問し、一人で判断しなければなりません。研修を終えて医師に報告する際に必要な状況判断や相談の内容が変わったと思います。
例えば、訪問時に利用者の身体状況の変化があった場合は、これまでは先を見通しきれずに状況報告をすることがあったと思います。今は意図的に必要な観察や情報収集を行い、検査や治療の必要性や方向性を見越して、情報を整理して医師に報告することができていると思います。そのことで医師も状況が判断しやすくなっているのではないかと感じています。また、利用者の身体状況を適切にアセスメントすることで必要な看護実践、生活指導や予防にも生かせていると思います。
また、手順書を用いてぼうこうろうの定期交換を行っていますが、自分が行うための知識・手技の獲得だけでなく、観察項目や注意点などの説明がより分かりやすくできるようになり、家族やヘルパーなど他機関との連携にも役立っています。

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訪問看護で医師との協働が円滑に

訪問看護は、現場にいるのは自分だけですが、医師との協働が欠かせません。研修を受けて医学的な視点を深めることで、アセスメント力も付いたと思います。例えば、創傷処置では壊死組織のタイムリーな除去により、治癒の促進につなげることができたと実感しています。
まだ特定行為研修制度は、十分に周知はされていません。地域の医師や一緒に担当する看護師、多職種にも自分の活動を説明し、理解を得るように進めています。自分でもさらに学びを深め、利用者・家族に安心して在宅療養の継続ができるように看護実践を行っていきたいと思っています。その一つに特定行為の実施があると思います。この研修は大変でしたが、とても楽しく有意義でした。訪問看護を利用する方々のニーズに応えられる研修だと思います。多くの訪問看護に携わる看護師に研修を受けてほしいと思います。